Kガイドに続いて、釣りを始めた頃の気持ちに戻ろうシリーズ。
今回は、Kガイドと同じくらい目にする、SiCというワードについて。
※前回の話⇒ロッドガイドの話 〜Kガイドとは何だ〜
Q.SiC・アルコナイト・Oリングって何?
A.ガイドリングの種類を表す言葉。
じゃあ、ガイドリングとは何かと言うと、
上の写真で言うと、ガイドの中にある黒い輪っかの部分。
※シルバーの部分はガイドフレーム。
ココに使われている素材(製品名)として、SiC・アルコナイト・Oリングというワードが出てきます。
ちなみに、3つのガイドリングを性能順に並べると、
SiC>アルコナイト>Oリング
という順番になる。
では、ガイドリングの性能とは?
ガイドリングの性能とは?
・硬さ(高い耐摩耗性)
・高い放熱性
・滑りやすさ
主にこの3つかな。
では、なぜ釣りにおいてこの3つの性能が求められるかというと…
ガイドリングに硬さ(耐摩耗性)が求められるワケ
ガイドリングは常にラインと接していて、リールを巻いたりすると、ラインによってズルズルと擦られ続けている。
しかも、
綺麗に見えるラインには、実は結晶化した潮や海中の細かい砂などが付着していてる。
だから、極端に言えばラインはヤスリのようになっている。
※特に厄介なのが、砂に含まれる石英という鉱物で、これがまた硬いんだ。
となると、
ガイドリングは、常に細かいヤスリでガリガリと削られているような状態になっているということ。
なので、もしガイドリングの耐摩耗性が低いと、
リングがすぐに摩耗してガサガサになる
→ガサガサになった部分にラインが触れるとトラブルが起きる(ラインが切れる、など)
という事態になってしまう。
だから、ガイドリングには高い耐摩耗性が求められるというわけ。
ガイドリングに高い放熱性が求められるワケ
想像してみよう。
左手にラインを握って、右手でそのラインを一気に引っ張ってみると…
恐ろしいほどの摩擦が起きるかと思います。
考えるだけで恐ろしい。
でも、こんな感じの摩擦が、ロッドガイドでは起きてるんですな。
ルアーを巻いている時、ドラグを出して魚の引きをいなしている時…
ラインと接している部分では、想像を超える摩擦がずっと起き続けています。
なので、もしガイドリングに摩擦熱が溜まり続けたら、
熱でラインにダメージが入って、ラインブレイク!
という悲しい事態を招きかねない。
だから、ガイドリングには高い放熱性が求められるというわけ。
ガイドリングに、滑りやすさが求められるワケ
これは、上二つの理由を補うようなものだけど、
滑りやすさが高い(=摩擦抵抗が少ない)ほど、ガイドとラインが擦れる力が弱まるし、摩擦熱も発生しにくいから。
滑りやすさは、主にガイドリングを仕上げる時の研磨の精度や形状の話になって来ると思うから、まあ、素材の良さをさらにアップさせる要因として考えたらいいのかな。
では、SiCリング(SiCガイド)とは?
シリコン(Si)と炭素(C)の化合物で、Silicon Carbideの頭文字からSiC。
今あるガイドリングの中では、ハイグレードなものに分類される。
硬さはOリングの約2倍
放熱性(熱伝導率)はOリングの約5.7倍
だけど比重はOリングの約84%
そんな素材を鏡面仕上げで磨いているから、滑りやすさも抜群
※いずれも富士工業株式会社HPから
という、ロッドのガイドに求められる性能を突き詰めたようなリングに仕上がっている。
デメリットといえばお値段が少々お高いことかな。
ちなみに、
SiCリングの中にも、J型と薄型大口径のS型があったりするから、更にややこしい。
※写真はS型。
では、アルコナイトリングとは?
アルコナイトについては、本当に情報が出てこないのよ。
調べた限りだと、アルミナセラミックスの一種のようだから、
改良版Oリング、とでも言った感じかな。
ちょっと昔までは海外モデルに使われてた素材というイメージだったみたいだけど、
最近は国内モデルでも使われているロッドが増えてきたね。
シマノのバスロッド、ゾディアスをはじめ、
メジャークラフト・三代目クロステージや、シマノ・コルトスナイパーSSにも、アルコナイトリングが使われてたりする。
価格帯としては、15,000円前後のロッドに使われているイメージで、
一番負荷が掛かかかるトップガイドはSiCで、その他にアルコナイト
という使われ方が多いかな。
アルコナイトリングは、
Oリングよりは高性能だけど、SiCには負ける。
だけど、SiCよりも安価。
という特徴を生かして、適材適所、SiCと組み合わせて使われているガイドリングといったイメージ。
Oリングガイドとは?
アルミナオキサイド製リング(アルミナセラミックス)製のリングで、
リーズナブルなロッドによく使われているガイドリング。
1万円前後のメーカー製ロッドに使われているイメージかな。
SiCに比べると性能は劣っているものの、決してダメダメな素材というわけじゃないからね。
ちゃんとしたメーカー品だし、Oリングだからって変に不安がる必要は無いと思う。
SiCリングが使われたロッドを使うべきなの?
ネットの口コミでは、
「SiC以外は認めない!」
「アルコナイトを使うなんてコストカットだ!!」
という、半ばSiC信者みたいな情報も多いけど、
個人的には、
「トップガイドがSiCだったら安心かな」
くらいの感覚。
やっぱり、一番負荷がかかるトップガイドがSiCだったら安心感はあるけど、
ガイドの種類だけでロッドの良し悪しは判断できないからね。
ガイドは大事なパーツだけど、ロッドを選ぶ時に、そこにだけ拘るのは考え物かな。
↑私のコルトスナイパーSS。
この話を書くまで、トップ以外がアルコナイトということを知らなかった(笑)
余談だけど、
超・単純に、価格とガイドセッティングのバランスを考えると、
シマノのエンカウンターはかなりリーズナブルな価格設定にしてくれてるとは感じる。
アンダー2万円で、オールSiCリングとはなかなか。
しかも、ブランクもしっかりしてるから凄いよね。
良い時代になったもんだ。
※前回の話⇒ロッドガイドの話 〜Kガイドとは何だ〜
アディオス